MIFARE PlusへのAES移行 ─ セキュリティレベルの選び方と段階移行の現実

前回コラムではMIFARE ClassicのCrypto-1脆弱性とクローンカードのリスクを解説しました。今回は“では何をすればいいか”について当社の考えを解説します。移行に必要な判断は大きく3つ──── ①どのSLを選ぶか、② 既存リーダーとの互換性、③ 段階移行の設計、です。
MIFARE Plusとセキュリティレベル
MIFARE Plusは世界中で広く普及している「MIFARE Classic」の上位互換規格として位置づけられており、「既存の古いシステムとの互換性」と「最新の強力なセキュリティ」を両立できる点が最大の特長です。
MIFARE Plusにはセキュリティレベル(SL)という概念があります。運用途中でSLをあげることが可能です。
※ 一度、SLを上げたカードはSLを下げることはできません。

SL3がより安全ですが、すべてを直ちにSL3にすればいいかというと必ずしもそうではありません。利用用途に応じてどのSLで運用するかが、コストとセキュリティのトレードオフになります。
どのSLを選ぶべきか
では、どのSLを選択するかは下記要素が重要となります。
- セキュリティ要件(リスクをどこまで許容できるか)
- 既存インフラとの互換性
- 移行コスト(時間・費用)
用途別で考えると、機密情報を保管する場所、サーバールーム、医療施設は早急にSL3への移行を強く推奨します。オフィス、マンションはSL1から始めてSL3に移行するといいでしょう。注意していただきたいのはSL1で移行完了とすると、MIFARE Classicを使い続けることと同義です。コストを理由にSL1で留まる選択はおすすめしません。
移行設計の現実(互換性・段階移行・鍵管理)
移行する場合の注意点を順を追って説明します。
- 既存リーダーとの互換性
- 段階移行の設計
- 鍵管理の考え方
① 既存リーダーとの互換性
SL1はClassic対応リーダーで読取可能です。SL3はAES対応リーダーが必要になります。
② 段階移行の設計
一括交換と段階移行について比較しました。どちらが適切かは規模とセキュリティ要件次第になります。
| 一括交換 | 段階移行 | |
|---|---|---|
| 作業内容 | カード+リーダー同時交換 | SL1発行 → リーダーを順次交換 → SL3切替 |
| メリット | 管理がシンプル 移行期間が短い | コストを分散できる システムトラブルなどリスクを低減できる |
| デメリット | 影響が大きく 瞬間的なコストが大きい | 移行中はセキュリティレベルが低いまま(Crypto-1) |
③ 鍵管理の考え方
SL3(AES-128)移行では、カードごとに固有の鍵(多様化鍵)を使用する設計が鉄則です。万が一1枚のカードの鍵が漏れても、他のカードやシステム全体への影響を防ぐためです。具体的な鍵管理の実装方式については、システム要件に合わせた設計が必要です。
MIFARE Plusへの移行は、カード・リーダー・鍵管理の3点をセットで設計することが成功の条件です。
まずは下記、移行前チェックリストをご確認ください。
- □ 現状のカード種別を確認した(Classic / Plus / その他)
- □ リーダーのSL3対応可否を確認した
- □ セキュリティ要件に合うSLを決定した(推奨:SL3)
- □ 段階移行か一括移行かの方針を決めた
- □ 鍵管理の運用設計を検討した
NFCリーダーライターの開発、移行をご検討の際は是非ご相談ください。









